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名古屋地方裁判所 昭和62年(ワ)2793号 判決 1994年2月25日

名古屋市名東区上社二丁目九六番地

原告

諏訪弘

右同所

原告

諏訪熔工株式会社

右代表者代表取締役

諏訪弘

右訴訟代理人弁護士

籏進

同右

加藤倫子

同右

加藤茂

同右

永冨史子

同右

鈴木誠

同右

森田尚男

四条畷市中野新町一〇番二〇号

被告

株式会社トーアミ

右代表者代表取締役

北川芳男

右訴訟代理人弁護士

藤田邦彦

右輔佐人弁理士

藤田米蔵

同右

藤田時彦

同右

福田進

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、別紙イ号製品目録(1)-A、(1)-B、(2)及び(3)各記載の鉄筋網を製造し、又は販売してはならない。

二  被告は、原告諏訪弘に対し金四三六万八一三七円、原告諏訪熔工株式会社に対し金三一万七一九六円及び右各金員に対する昭和六二年九月六日から支払済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

三  訴訟費用は、被告の負担とする。

四  仮執行宣言

第二  事案の概要

本件は、被告による鉄筋網の製造販売行為について、原告諏訪弘(以下「原告諏訪」という。)が特許権に基づく差止め及び補償金の支払を、原告諏訪熔工株式会社(以下「原告会社」という。)が特許権の独占的通常実施権に基づく差止め及び不法行為による損害賠償を求めた事案である。

一  争いのない事実等

1  原告諏訪の特許権

原告諏訪の有する特許権は、次のとおりである(甲五ないし七)。(以下、それぞれの特許権を「本件特許権(一)」、その特許発明を「本件発明(一)」、別添の特許公報を「本件公報(一)」のようにいい、これらりを合わせて、「本件各特許権」、「本件各発明」、「本件各公報」という。)

(一) 発明の名称 鉄筋組付け工法

出願日 昭和五二年八月一二日

出願公開日 昭和五四年三月九日

出願公告日 昭和六二年一月七日

登録日 昭和六二年一二月二二日

登録番号 第一四一六六二四号

特許請求の範囲 別添特許公報(一)の該当欄記載のとおり

(二) 発明の名称 スラブ上端筋の鉄筋配設工法

出願日 昭和五四年一二月一八日

出願公開日 昭和五六年七月二一日

出願公告日 昭和六二年五月一一日

登録日 昭和六二年一一月二七日

登録番号 第一四一二四四四号

特許請求の範囲 別添特許公報(二)の該当欄記載のとおり

(三) 発明の名称 スラブ用鉄筋網セット

出願日 昭和五二年八月一二日

出願公開日 昭和五七年八月一八日

出願公告日 昭和六一年六月一一日

登録日 昭和六二年二月二六日

登録番号 第一三六五二八八号

特許請求の範囲 別添特許公報(三)の該当欄記載のとおり

2  本件各発明の構成要件の分説及びその作用効果は、次のとおりである。

(一) 本件発明(一)

(1) 特許請求の範囲第1項

<1> 梁で囲まれたブロックにスラブ筋を配設する組付け工法において

<2> 一対の梁に沿ったブロックの端部位置に、予め鉄筋の交点を溶接し、梁に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置し、

<3> ついで、前記一対の端部鉄筋網を配置し空間となるブロックに、中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶接し、外周部がフォーク状の中央部鉄筋網を

<4> 前記端部鉄筋網と一部が重なるように配置する

<5> 下端筋の配筋工程と、

<6> この下端筋の所望上方に、一対の梁に沿ったブロックの端部位置に、中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶接し、梁に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置し、

<7> ついで該梁に直交する一対の梁に沿ったブロックの端部位置に、中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶接し、梁に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置する

<8> 上端筋の配筋工程と

<9> からなる鉄筋組付け工法。

(2) 特許請求の範囲第2項

<1> 上端筋配筋工程において

<2> 端部鉄筋網配置完了後

<3> 空間となるブロックに中央鉄筋網を配設する

<4> 特許請求の範囲第1項の鉄筋組付け工法。

(3) 作用効果

<1> 従来のベンド配筋での下端筋と上端筋の基本的構造を崩すことなく成形されているので、従来のスラブ配筋に比して何ら強度的に劣るものではなく、むしろ溶着が確実であり、優るものである。

<2> 工場で予め正確に配筋された鉄筋網を所定位置に配置、結束組付けするだけでよい。

<3> 仮に、梁、柱等に干渉することがあっても、定着部である周縁部がフォーク状となっているので、現場において容易に曲げ逃げによって定着できる。

<4> フォーク状部を入り組ませることにより平面的(二段)に配設でき、かぶりを圧迫することがなく、従来のようにかぶり圧迫のため、コンクリートの打ち増しを必要としない。

(二) 本件発明(二)

(1) 構成要件の分説

<1> 梁に囲まれたブロックに、スラブ上端筋を配設するに際して、

<2> 荷重分布により区画される端部A、A'、中央部B、隅部C、に適する必要配筋をするため、

<3> 梁をはさんで隣接する端部内に配列した一本もので通した主筋と、

<4> 梁に平行して隣接する端部と隅部とに、該梁に沿って、かつ該梁と直交する梁に架け渡すように配列した配力筋とにより、

<5> H形状を成し

<6> その交点を溶着した鉄筋網を、

<7> 梁上に配設すること

<8> を特徴とするスラブ上端筋の鉄筋配設工法。

(2) 作用効果

<1> 梁をはさんで隣接する端部A、A'間に配筋する主筋は、梁上にて継手又は定着されることなく、一本ものを通すので、配筋の混雑が解消され、梁内へのコンクリートの打設が支障なく行えると共に鉄筋のはね上がりで梁上のかぶり不良を生じたりすることは皆無となる。

<2> 中央部ほぼ1x/4の位置での継手は引っ張り応力の掛からない安全位置にて行われ、すべて構造的意義を確立し、しかも素人でも簡単にスラブ上端筋を配設することができる。

(三) 本件発明(三)

(1) 特許請求の範囲第1項

<1> 平行する柱梁により短辺方向の長さがlx長辺方向の長さが1yによって区画されるブロックの、短辺方向の長さlxの両側よりほぼ1x/4を除く中側と長辺方向の長さ1yの両側よりほぼ1x/4を除く中側により区画される部分を中央部とし、

<2> 長辺方向の長さ1yの両側よりほぼ1x/4を除く中側と短辺方向の長さの両側よりほぼlx/4の長さにより区画される中央部と隣接する部分及び短辺方向の長さlxの両側よりほぼlx/4を除く中側と長辺方向の長さの両側よりほぼlx/4の長さにより区画される中央部と隣接する部分を端部とし、

<3> 区画されるブロックの四隅に短辺方向の長さlx、長辺方向の長さlyの両側よりほぼlx/4の長さで区画される部分を柱列帯とし、

<4> その区画されたブロックの前記各部分の複数に鉄筋の交点を予め溶着してメッシュ状とした鉄筋網をもって下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網セットであって、

<5> 下端筋は

イ 長辺方向lyの梁に隣接する端部及び柱列帯に配設するlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しlx/4の長さに梁側には定着部を、中央部側には継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋した一対の下側端部鉄筋網と

ロ その下側端部鉄筋網が配設され空間となった中央部及び端部にlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋とlyの方向ほぼ中央部の長さの鉄筋とをlyの方向に置き、中央部を密に端部を粗い間隔で配筋し中央部のほぼlxの方向の長さの両側に継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き中央部を密な間隔で配筋した下側中央部鉄筋網により構成され、

<6> 上端筋は

イ 長辺方向lyの梁に隣接する端部及び柱列帯に配設するlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼlx/4の長さの梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き端部を密の間隔で配筋した長辺方向に沿う一対の上側端部鉄筋網と

ロ 短辺方向lxの梁に隣接する端部及び柱列帯に配設するlxの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼlx/4の長さの梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き端部を密の間隔で配筋した短辺方向に沿う一対の上側端部鉄筋網により構成されてなる、

<7> 右<5>、<6>の構成を特徴としたスラブ用鉄筋網セット。

(2) 特許請求の範囲第2項

<1> 平行する柱梁により短辺方向の長さがlxで長辺方向の長さがlyによって区画されるブロックの短辺方向の長さlxの両側よりほぼlx/4を除く中側と長辺方向の長さlyの両側よりほぼlx/4を除く中側により区画される部分を中央部とし、

<2> 長辺方向の長さlyの両側よりほぼlx/4を除く中側と短辺方向の両側よりほぼlx/4の長さにより区画される中央部と隣接する部分及び短辺方向の長さlxのほぼlx/4を除く中側と長辺方向の長さlyの両側よりほぼlx/4の長さにより区画される中央部と隣接する部分を端部とし、

<3> 区画されるブロックの四隅に短辺方向の長さlx、長辺方向の長さlyの両側よりほぼlx/4の長さで区画される部分を柱列帯とし、

<4> 梁の両側に隣接する区画されたブロックの前記各部分の複数の均等部分を一体的に鉄筋の交点を予め溶着してメッシュ状とした鉄筋網をもって下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網セットであって、

<5> 下端筋は

イ 長辺方向lyの梁の両側に隣接する端部及び柱列帯に配設するlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しlx/4の二倍と梁巾の長さの両側に継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き、粗い間隔で配筋した一対の複合下側端部鉄筋網と

ロ その複合下側端部鉄筋網が配設され空間となった中央部及び端部にlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋とlyの方向ほぼ中央部の長さの鉄筋とをlyの方向に置き中央部を密に端部を粗い間隔で配筋し、中央部のlxの方向の長さの両側に継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き中央部を密な間隔で配筋した下側中央部鉄筋網により構成され、

<6> 上端筋は

イ 長辺方向lyの梁の両側に隣接する端部及び柱列帯に配設するlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼlx/4の二倍と梁巾の長さでlxの方向に置き端部を密の間隔で配筋した長辺方向に沿う一対の複合上側端部鉄筋網と

ロ 短辺方向lxの梁の両側に隣接する端部及び柱列帯に配設するlxの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼlx/4の二倍と梁巾の長さでlyの方向に置き端部を密の間隔で配筋した短辺方向に沿う一対の複合上側端部鉄筋網で構成されてなる、

<7>右<5>、<6>の構成を特徴としたスラブ鉄筋網セット。

(3) 作用効果

応力分布に適応した合理的なスラブ配筋を構成し、しかもそれを極めて簡単に行うことができる。

3  原告会社の権利

原告会社は、本件各特許権について、原告諏訪から独占的通常実施権の許諾を受け、独占的に業として本件各発明の実施をしている(原告諏訪本人)。

4  本件各工事

(一) 被告は、別紙工事目録記載の各工事(以下「本件各工事」という。)において使用された鉄筋網を製造し、これを同目録記載の建築施工会社に販売した。その工事の時期は、福島阪神電鉄ビルを除き、同目録記載のとおりである。

(二) 本件各工事のうち、別紙工事目録記載5(守口倉庫)、7(泉北長崎屋)及び8(福島阪神電鉄ビル)の工事において、被告が製造販売した別紙イ号製品目録(2)記載の製品を用いて、建築施工会社により別紙イ号工法目録(2)記載の工法が実施された(以下、イ号製品目録(1)記載の製品を「イ号製品(1)」、イ号工法目録(1)-A記載の工法を「イ号工法(1)-A」のようにいう。)。

二  争点

1  イ号工法及びイ号製品の特定(争点1)

(一) 原告ら

本件各工事においては、別紙工事目録記載のとおり、イ号工法及びイ号製品が用いられた。

なお、イ号製品(1)ないし(3)は、イ号製品A及びBを、本件各発明の構成要件に即して特定したものである。

(二) 被告

原告らの右主張は、前記第二の一5(二)記載の争いのない部分を除き、否認する。

2  イ号製品(1)-A、Bは、本件発明(一)の実施にのみ使用する物といえるか(争点2)

(一) 原告ら

(1) イ号製品(1)-Aはイ号工法(1)-Aの、イ号製品(1)-Bはイ号工法(1)-Bの実施にのみそれぞれ使用する物であるところ、イ号工法(1)-A、Bは、本件発明(一)の構成要件をすべて充足し、その技術的範囲に属する。

したがって、イ号製品(1)-A、Bは、本件発明(一)の実施にのみ使用する物に該当する。

(2) なお、本件発明(一)において、梁に接する部分をフォーク状とすることの目的は、鉄筋網を梁に定着させる定着部とするためである。他方、さし筋とは、現場の施工状況によりスラブ筋に予め定着部を設けられない場合に、その現場において、一方を継手によってスラブ筋に連結させ、他方の延長部分を梁内に定着させることによって、スラブ筋を梁に定着させるための鉄筋をいう。

建築学上は、継手によって連結された鉄筋についても、一定の継手長さが確保されていれば、配筋としては、一本の鉄筋と同じものとして扱うこととされている。

また、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の建物について本件発明(一)の工法を実施するときは、梁の肋筋が邪魔になってそのままでは設置できない場合がある。このような場合、鉄筋網の短辺方向の梁に接する部分にフォーク状部分を設けず、さし筋により定着することが必然的に必要となり、これは、当業者にとって当然の応用方法である。

したがって、イ号工法(1)-A、Bにおいて長辺方向の梁に接する部分をフォーク状とし、短辺方向の梁に接する部分をさし筋によりフォーク状としたという構成は、本件発明(一)の「梁に接する部分をフォーク状とした」という構成要件に該当するというべきである。

(二) 被告

本件発明(一)は、「梁に接する部分をフォーク状と」することが要件であるところ(前記第二の一2(一)(1)<2>)、イ号製品(1)-A、Bは、これを欠くものであり、右発明の実施にのみ使用する物には当たらない。

なお、右発明は、本件公報(一)の記載からも明らかなように、「多数の継手筋6を必要とする手組みによるスラブ配筋の欠陥を解消すべく創案された」ものであり(3欄41行ないし4欄8行)、右の要件は必須の構成要件である。

3  イ号製品(2)は、本件発明(二)の実施にのみ使用する物に該当するか(争点3)

(一) 原告ら

イ号製品(2)は、イ号工法(2)の実施にのみ使用する物であるところ、イ号工法(2)は、本件発明(二)の構成要件をすべて充足し、右発明の技術的範囲に属する。

したがって、イ号製品(2)は、本件発明(二)の実施にのみ使用する物に当たる。

(二) 被告

イ号工法(2)が本件発明(二)の構成要件を充足することは認める。

4  イ号製品(3)は、本件発明(三)の技術的範囲に属するか(争点4)

(一) 原告ら

(1) イ号製品(3)は、本件発明(三)の構成要件をすべて充足するから、その技術的範囲に属する。

(2) なお、特許請求の範囲第1項の発明と同第2項の発明とは、その一部分を組み合わせて配設することができる(本件公報(三)8欄15行ないし22行参照)。

また、イ号製品(3)は、「さし筋により定着部を設けた」構成となっているが、前記2(一)(2)で述べたのと同様の理由により、予め設けられたフォーク状の定着部分による定着とさし筋による定着とは、配筋としてはまったく同じであり、しかも、本件公報(三)の発明の詳細な説明には、「鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造等のように梁組みした鉄筋の中に差し込み定着する場合は定着部13bを省くが定着部をなくした13bの処置は鉄筋網配設后さし筋等により補えばよい。」(6欄13行ないし17行)と記載され、さし筋により定着部を設けるという構成を一つの実施方法として説明しているところである。

したがって、イ号製品(3)の「さし筋により定着部を設けた」との構成は、本件発明(三)の「定着部を設けた」という構成要件に当然に含まれる。

(二) 被告

(1) 本件発明(三)は、「端部及び柱列帯に配設するlyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋」を備えることが要件であるところ(前記第二の一2(三)(1)<5>、<6>)、イ号製品(1)-A、Bは、これを欠くから、右発明の技術的範囲に属さない。

右の要件が必須であることは、本件公報(三)の発明の詳細な説明に、「梁への定着部にはさし筋による充足が必要で……取付け作業が多くなる点等、手で個々に配筋する場合と大差ない程の不合理が多い。……本発明は上述した従来のスラブ配筋の欠陥を解消すべく案出された」ものであるとされている(5欄26行ないし34行)ことからも、明らかである。

(2) また、イ号製品(3)と本件発明(三)とを対比する場合には、右発明の特許請求の範囲第1項及び第2項について個別に構成要件を比較すべきであり、イ号製品(3)が、第1項に記載された構成要件の一部と第2項に記載された構成要件の一部とを組み合わせたものからなるとしても、本件発明(三)の技術的範囲には属さない。

5  原告会社の損害賠償請求権の有無(争点5)

(一) 原告会社

(1) 被告は、別紙工事目録記載のとおり、本件各特許権の出願公告があった後に、訴外株式会社竹中工務店(以下「竹中工務店」という。)に対し福島阪神電鉄ビルの床スラブ工事に用いられたイ号製品Aを納入し、これによって、本件発明(一)及び(二)の実施にのみ用いる物であり、かつ、本件発明(三)の技術的範囲に属する物を製造販売した。

(2) イ号製品Aは、同ビルの四階部分の下端筋(約六・二トン)及び上端筋(約五・四トン)であり、その合計量は、別紙1の「侵害数量(t)」欄記載のとおり、一一・七四八トンである。そして、一トン当たりの実施料相当額は二万七〇〇〇円であるから、本件各発明の独占的通常実施権を有する原告会社は、被告の右製造販売によって三一万七一九六円の損害を被ったことになる。

(3) また、被告は、右ビルの床スラブの工事について、竹中工務店に原告諏訪の特許権を侵害する工法を採用するよう提案し、竹中工務店は、被告の提案を受け入れて、同日以降に同ビル四階の床スラブの工事を実施した。

被告が、竹中工務店に鉄筋網セットを引き渡した時点までに、竹中工務店に対してした教唆又は幇助行為は、原告会社に対する共同不法行為に当たる。

(4) よって、原告会社は、被告に対し、本件各発明の独占的通常実施権の侵害による損害賠償として、三一万七一九六円及びこれに対する不法行為による結果発生後である昭和六二年九月六日から支払済に至るまでの民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払をすることを求める。

(二) 被告

(1) 福島阪神電鉄ビルで用いられた鉄筋網のうち、四階の上端筋以外は、本件各発明と無関係であるが、被告が竹中工務店に同ビルの最上階(一四階)の鉄筋網を納入したのは昭和六二年四月二八日であり、四階部分の鉄筋網はそれ以前に納入されており、その組付けは、納入の数日後に竹中工務店によってされている。

したがって、被告の行為は、本件発明(二)の出願公告日以前にされたものである。

(2) そうすると、原告会社が主張する各工事は、いずれも、本件各特許権の出願公告がされる前のものであり、原告会社に損害賠償請求権は発生しない。

(3) また、同ビルで用いられた鉄筋網の一部は本件発明(二)の実施にのみ用いる物に該当するが、その量は、三・六四八トンに過ぎない。その純利益は一トン当たり一六〇〇円ないし三二〇〇円であり、実施料相当額はこの純利益の一〇パーセント程度である。

6  補償金支払請求権の有無(争点6)

(一) 原告諏訪

(1) 本件発明(一)及び(三)は、当初、「鉄筋組み付け工法とこれに用いる鉄筋網」の名称で一つの特許として出願され、昭和五四年三月九日に公開されたものであるが、原告諏訪は、昭和五五年夏ころ、口頭で、被告に対し、被告が販売した別紙工事目録記載の松下技術研究所七棟の工事に用いられた鉄筋網及びその組付け工法が、原告諏訪の特許として既に公開されている旨の警告をした。

(2) さらに、原告諏訪は、被告に対し、昭和五六年二月四日付けの内容証明郵便をもって、被告の右工事において施工された鉄筋組付け工法及びこれに用いられた鉄筋網が、本件発明(一)、(三)に抵触する旨の警告をし、右書面は同月一二日被告に到達した。

(3) 原告諏訪は、昭和五七年七月一日、本件発明(一)、(三)の公開特許公報及び本件発明(二)の公開特許公報の各写しを被告に送付し、かつ、警告書を送付した。

(4) なお、本件各発明は、出願公開時の構成要件はすべて登録に係る特許請求の範囲の構成要件となっており、出願公開後にされた特許請求の範囲の補正はすべて出願公開時の構成要件を補充し、内容を明瞭にしただけである。このことは、本件各公報に添付された図面についてまったく変更がないことからも明らかである。

そして、警告後特許請求の範囲を拡張又は変更する補正をしたことにより特許出願に係る発明に変更が生じた場合には、更に改めて警告をする必要があるが、特許請求の範囲を拡張又は変更せず、特許請求の範囲を減縮するにとどまる場合には、再度の警告は必要ではない。

したがって、原告諏訪は、補償金の支払を請求するに当たり、被告に対し、再度の警告をする必要はない。

(5) 右によれば、原告諏訪は、被告に対し、特許法六五条の三により、右警告後に行われた本件各工事に使用された鉄筋網について通常受けるべき実施料相当額の補償金支払請求権を有するところ、その金額は、別紙1記載のとおり、「侵害数量(t)」欄記載の数量に同別紙の「実施料(円/t)」欄記載の金額を乗じた金額(同表「金額」欄記載のとおり)であり、その合計は、四三六万八一三七円である。

(6) よって、原告諏訪は、被告に対し、補償金として四三六万八一三七円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和六二年九月六日から支払済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払をすることを求める。

(二) 被告

(1) 原告諏訪主張の昭和五六年二月四日付けの内容証明郵便及び昭和五七年七月一日付けの警告書が被告に到達したことは認め、その余の主張は争う。

(2) 本件各発明は、出願公開された際の出願に係る発明と出願公告された際のそれとで、明らかに異なっている。

すなわち、本件発明(一)については、公告されたものは定着部に関して「梁に接する部分をフォーク状とした」との文言により、また、本件発明(三)については、公告されたものは定着部に関して「lyの長さの両梁側に定着部を設けた」との文言が加えられ、これにより、出願公開に係る発明が限定されている。そして、右発明は、右の減縮によって特許されたものである。本件発明(二)についても、出願公開時に「その端部の継手並びに定着は全て中央部Bよりの位置にて処理する」とあったものが、出願公告の時点では「……主筋と、配力筋とにより、H形状を成し、その交点を溶着した鉄筋網を、……」と大幅に補正されており、特許請求の範囲は変更されている。

したがって、原告諏訪は、出願公告の際の特許請求の範囲に記載された発明の範囲に含まれないこととなった発明についてまで補償金支払請求権を有するものではない。

(3) なお、昭和五六年二月四日付けの内容証明郵便は、「特許出願に係る発明の内容」が記載されていないから、特許法六五条の三の要件を満たさない。

第三  判断

一  争点1(イ号工法及びイ号製品の特定)について

前記第二の一5の事実、証拠(甲一〇、一六ないし二三、甲二六の一ないし三、甲二九の一ないし七、乙一、二、原告諏訪弘本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、別紙工事目録記載の各工事において、同目録記載の工法及び製品が用いられた事実を認めることができ、これに反する証拠はない。

二  争点2(イ号製品(1)-A、Bは、本件発明(一)の実施にのみ使用する物といえるか)について

1  まず、イ号工法(1)-A、Bが本件発明(一)の技術的範囲に属するか否かについて検討する。

本件発明(一)は、下端筋の配筋工程において配置する一対の端部鉄筋網の梁に接する部分をフォーク状とすること(前記第二の一2(一)(1)<2>)を要件とするものであるが、イ号工法(1)-A、Bの下端筋の配筋工程においては、一対の下端筋端部鉄筋網の短辺方向の梁に接する部分はさし筋によりフォーク状としたものとなっている。

そこで、右の部分をさし筋によりフォーク状としたものであっても、本件発明(一)の構成要件を充足するといえるかどうかについて検討する。

2  まず、本件発明(一)は方法の発明であるところ、構成要件の記載は、「一対の梁に沿ったブロックの端部位置に、予め鉄筋の交点を溶接し、梁に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置」する(前記第二の一2(一)(1)<2>)というのであるから、ここにいう鉄筋網は、配置される前に予め梁に接する部分をフォーク状としたものを意味すると解するのが自然であり、本件公報(一)の第6ないし第11図、第15図の記載からみても、「フォーク状」とは、予め、鉄筋網を構成する鉄筋をその先端が梁に接するような長さにしておくことを意味するものと解される。

3  さらに、本件公報(一)の発明の詳細な説明の記載によれば、従来技術との対比の説明として「従来も、溶接金網として、予め格子状に組まれたスラブ筋が用いられることもある」が、「この場合には、……継手筋が多くなる為に手で個々に配筋する場合と大差のない手間のかかる」といった状況がみられたとし(3欄32行ないし40行)、本件発明(一)においては、「下端筋となるべき鉄筋網と上端筋となるべき鉄筋網とを、各々所定の形状に分割した態様で予め成形しておき、施工現場では単に配筋工程に従ってこの鉄筋網を配置して結束して組付ければよいものである。」(6欄9行ないし13行)、「現場での配筋に際しては、一本一本の鉄筋を折まげ加工したり、結束するのではなく、……工場で予め正確に配筋された鉄筋網を所定位置に配置、結束組付けするだけでよいものであり、かりに梁、柱等に干渉することがあっても、本発明より使用される鉄筋網は定着部である周側部がフォーク状となっているので第15図の如く、現場において容易に曲げ逃げによって定着できるほか、従来鉄筋網の継手部では重ね合わせが四段(第17図参照)又は三段(第18図参照)となっていたのが、本発明の場合は第19図のようにフォーク状部を入り組ませることにより平面的(二段)に配設でき、かぶりを圧迫することがなく(第20図E、第21図Fを比較参照)従来のようにかぶり圧迫のため、コンクリートの打ち増しを必要としない。」(6欄24行ないし41行)と説明されており、鉄筋網の梁に接する部分を工事現場での施工の際にさし筋によってフォーク状としたのでは、右に説明されているような作用効果を生じないことは明らかである。

4  右に判示した本件発明(一)の構成要件の記載、従来技術との対比、発明の目的、作用効果等によれば、梁に接する部分をフォーク状とした鉄筋網は、それが配置される以前に予めそのように形成されているものでなければならず、「さし筋によりフォーク状としたもの」は、これに含まれないと解するのが相当である。

原告らは、さし筋によるものであっても、強度は変わらず、建築学上は同一であると主張するけれども、本件発明(一)は方法の発明であることからすれば、別個の方法により同様の強度が得られるとしても、右に判示した結論を左右するものではないというべきである。

5  したがって、イ号工法(1)-A、Bは、本件発明(一)の技術的範囲に属さないのであるから、その余の点につき判断するまでもなく、イ号製品(1)-A、Bは本件発明(一)の実施にのみ使用する物には該当しないというべきである。

三  争点3(イ号製品(2)は、本件発明(二)の実施にのみ使用する物といえるか)について

イ号製品目録(2)の記載によれば、イ号製品(2)は、イ号工法(2)の実施にのみ用いるものと認められ、イ号工法目録(2)の記載によれば、イ号工法(2)は本件発明(二)の構成要件をすべて充足するものと認められるから、イ号製品(2)は、本件発明(二)の実施にのみ使用する物に該当するというべきである。

四  争点4(イ号製品(3)は、本件発明(三)の技術的範囲に属するか)について

1  前記第二の一2(三)のとおり、本件発明(三)のうち特許請求の範囲第1項の発明は、区画されたブロックの中央部、端部及び柱列帯の各部分の複数に、一対の下側端部鉄筋網及び下側中央部鉄筋網からなる下端筋並びに長辺方向に沿う一対の上側端部鉄筋網及び短辺方向に沿う一対の上側端部鉄筋網からなる上端筋を上下二層にスラブ配筋を行う鉄筋網セットであり、特許請求の範囲第2項の発明は、区画されたブロックの中央部、端部及び柱列帯の各部分の複数の均等部分を一体的に、一対の複合下側端部鉄筋網及び下側中央部鉄筋網からなる下端筋並びに長辺方向に沿う一対の複合上側端部鉄筋網及び短辺方向に沿う一対の複合上側端部鉄筋網からなる上端筋を上下二層にスラブ配筋を行う鉄筋網セットである。

ところで、特許請求の範囲に複数の項が記載されている場合、発明の技術的範囲を定めるに当たっては、それぞれの項ごとにその講成要件に基づいて判断しなければならないことは当然であり、特許請求の範囲第1項及び第2項の各構成要件を分解し、又は組み合わせて技術的範囲を定めることは、許されない。

したがって、イ号製品(3)が本件発明(三)の技術的範囲に属するか否かを判断するに当たっては、イ号製品(3)が右特許請求の範囲第1項又は第2項のそれぞれの構成要件を個別に充足するかという点から判断する必要があるところ、イ号製品(3)は、イ号製品目録(3)の記載によれば、一対の下端筋端部鉄筋網及び下端筋中央部鉄筋網からなる下端筋並びに長辺方向の梁に沿う一対の複合上端筋端部鉄筋網及び短辺方向の梁に沿う一対の複合上端筋端部鉄筋網からなる複合上端筋(ただし、建物周辺部など切ブロックで複合上端筋鉄筋網を使用できない場合は、適宜上端筋鉄筋網を使用するとされる。)を組み合わせたものであるから、本件発明(三)の特許請求の範囲第1項(一対の下側端部鉄筋網・下側中央部鉄筋網からなる下端筋及び一対の上側端部鉄筋網・上側端部鉄筋網からなる上端筋からなる。)又は第2項(一対の複合下側端部鉄筋網・下側中央部鉄筋網からなる下端筋及び一対の複合上側端部鉄筋網・複合上側端部鉄筋網からなる上端筋からなる。)の各構成要件のいずれについても充足していないことは明らかである(なお、下側端部鉄筋網と複合下側端部鉄筋網とは、前者は梁側に定着部をもうけた長さlx/4の鉄筋を用いるのに対し、後者はこれに代えてlx/4の二倍の長さの鉄筋を用い、両側に継手部をもうけるというのであるから、両者が異なることは明らかである。また、複合上側端部鉄筋網と上側端部鉄筋網についても同様である。)。

原告らは、特許請求の範囲第1項の発明と同第2項の発明とは、その一部分を組み合わせて配設することができるとし、本件公報(三)の発明の詳細な説明中の記載を援用するところ、確かに、本件公報(三)の発明の詳細な説明には、「建物の外周部のような区画されるブロックに配設するには第一番目、第二番目の発明の鉄筋網セットの一部分を組合せて配設することは当然のことである。このスラブ用鉄筋網セットは施工状況に合せ下端筋の構成と上端筋の構成をそれぞれ単独で採用することもできる。」と記載されている(8欄16行ないし22行)。

しかし、発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定めるべきものであり(特許法七〇条一項)、しかも、特許請求の範囲には特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならないとされている(同法三六条五項二号)ことからすれば、発明の詳細な説明において、特許請求の範囲第1項の発明の構成要件の一部と同第2項の発明の構成要件の一部とを組み合わせて実施することができる旨の記載がされているとしても、特許請求に係る発明とは別の技術思想が開示されているにとどまるものと解すべきであり、右のような記載に基づいて、特許請求の範囲の記載を離れて発明の技術的範囲を定めることは許されないといわざるを得ない。

したがって、原告らの右主張は採用することができない。

2  さらに、本件発明(三)は、前記第二の一2(三)のとおり、特許請求の範囲第1項及び第2項のいずれの発明においても、下端筋の一対の下側端部鉄筋網が「lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋」を備えることが構成要件とされている(前記第二の一2(三)(1)<5>イ、(2)<5>イ)のに対し、イ号製品(3)の下端筋端部鉄筋網は、「lyの長さの両梁側にさし筋により定着部を設けた鉄筋」を備えるものとなっている。

そして、本件公報(三)の発明の詳細な説明によれば、「定着部とは梁とスラブを連結一体化するためスラブ筋を梁内に延長して差し込む必要長さのことである。」と説明されている(5欄42行ないし44行)ところであり、本件発明(三)は、「従来も熔接金網をスラブ筋として用ることが行なわれているが、……梁への定着にはさし筋による充足が必要で鉄筋量が大巾に嵩み……また取付け作業が多くなる点等、手で個々に配筋する場合と大差ないほどの不合理が多い。」(5欄22行ないし30行)とされている。

「lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋」という文言及び右のような本件公報(三)の発明の詳細な説明によれば、右の要件は、本件発明(一)にいう「フォーク状」と同様、鉄筋の端部が梁内に差し込まれるように予めその長さを備えていることを意味し、鉄筋網を組み付ける工事現場においてさし筋により形成される定着部はこれに含まれないと解するのが相当である(なお、原告らが指摘するとおり、本件公報(三)の発明の詳細な説明には、「鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造等のように梁組みした鉄筋の中に差し込み定着する場合は定着部13bを省くが定着部をなくした13bの処置は鉄筋網配設后さし筋等により補えばよい。」(6欄13行ないし17行)と記載されており、定着部を省くことも可能であるかのような説明がされている。しかし、特許請求の範囲には権利範囲を明確にするため発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならないのであるから、発明の詳細な説明において、特許請求の範囲に記載された構成要件の一部を省くことが可能であるとしているとしても、それによって、その構成要件が不要となるものではない。)。

3  したがって、イ号製品(3)は、本件発明(三)の構成要件を欠くものであり、本件発明(三)の技術的範囲に属さないというべきである。

五  争点5(原告会社の損害賠償請求権の有無)について

1  右一ないし四において判示したところによれば、被告による本件各工事で用いられた鉄筋網の製造販売行為は、本件特許権(二)との関係でのみ問題となるところ、本件特許権(二)の出願公告日は昭和六二年五月一一日であるから、別紙工事目録記載の各工事は、福島阪神電鉄ビルを除き、本件特許権(二)の出願公告前に実施されたものであることが明らかであって、本件特許権(二)の仮保護の権利の侵害を問題とする余地はない。

そこで、福島阪神電鉄ビルの工事の時期等について検討する。

2  福島阪神電鉄ビルの建物登記簿抄本(甲三一)によれば、同建物は昭和六二年一二月四日新築を原因として昭和六三年三月二四日に保存登記がされていることが認められ、また、証拠(甲三二)によれば、同建物の建築工事は昭和六一年三月ころ着工されたことが認められる。

同ビルの工事で用いられた鉄筋網のうち、原告会社が本件発明(二)の実施にのみ用いる物に当たると主張するのは、四階部分の下端筋及び上端筋となった鉄筋網に限られるが、これがいつごろ被告により製造され、竹中工務店に対して販売されたものであるかという点を直接的に明らかにする証拠はない。

しかし、証拠(乙二)によれば、同建物三階のバーメッシュ割付図及びスラブメッシュ詳細図は昭和六一年一二月一三日付けで、四階のバーメッシュ割付図及びスラブメッシュ詳細図は昭和六二年一月二〇日付けで、五階ないし一四階のバーメッシュ割付図及びスラブメッシュ詳細図は昭和六一年一二月一三日付けで、並びに屋上階のバーメッシュ割付図及びスラブメッシュ詳細図は昭和六二年四月二五日、二八日又は同年五月二日付けで作成されていることが認められ、これと着工時期が昭和六一年三月ころであることを併せ考えると、四階部分の下端筋及び上端筋は、四階のバーメッシュ割付図及びスラブメッシュ詳細図が作成された昭和六二年一月二〇日ないしその直後のころ、被告により製造され、竹中工務店に対して販売されたものと一応推認することができる。

これに対し、原告諏訪作成の陳述書(甲三二)には、着工時期及び完成時期からすれば四階床スラブの工事は同年五月以降に行われたものである旨の記載があるけれども、その裏付けとなる客観的な資料もなく、推測の域を出ないものであって、直ちに採用することはできない。

したがって、本件特許権(二)の出願公告日である昭和六二年五月一一日以降に、右ビルの四階部分の下端筋及び上端筋の製造販売行為がされたことを認めることはできないというべきである。

3  原告会社は、被告が竹中工務店に鉄筋網セットを引き渡した時点までに被告が竹中工務店に対して原告諏訪の特許権を侵害する工法を採用させた教唆又は幇助行為が共同不法行為に当たる旨主張するけれども、出願公告前に適法にされた行為について、権利侵害の不法行為責任を問われる理由はないというべきであるから、右に判示したとおり、被告が出願公告後にイ号製品(2)を竹中工務店に引き渡した事実が認められない以上、原告会社の右主張は失当というほかない(なお、竹中工務店により同ビルの四階部分の工事が行われた時期が出願公告後かどうかという点も、明らかではない。)。

4  右に判示したところによれば、被告が、本件各特許権につき、原告諏訪の仮保護の権利を侵害したものということはできず、したがってまた、原告会社は、被告に対し、独占的通常実施権の侵害による損害賠償を求めることはできない。

六  争点6(補償金支払請求権の有無)について

1  本件発明(二)は、昭和五六年七月二一日に出願公開されており、本件各工事のうち松下技術研究所七棟以外の工事は、右公開後出願公告前に実施されたものであるから、原告諏訪が特許法六五条の三に基づき補償金支払請求権を有しているかどうかについて検討する必要がある。

2  特許法六五条の三第一項によれば、特許出願人が、出願公開後に出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後出願公告前に業としてその発明を実施した者に対して補償金の支払を請求することができるとされているところ、一旦出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告した後、出願人において特許請求の範囲を補正し、これにより出願公開時の特許請求の範囲が変更された場合に補償金の支払を請求するためには、右補正後に改めて出願人が第三者に対して同条所定の警告をするなどして、第三者が補正後の特許請求の範囲の内容を知ることを要するものと解すべきである(なお、右の補正が特許請求の範囲を減縮するものであって、第三者の実施に係る物品が補正の前途を通じて当該発明の技術的範囲に属するときは、再度の警告を要しない(最高裁第三小法廷判決昭和六三年七月一九日・民集四二巻六号四八九頁参照)。)。

3  そこで、本件発明(二)の出願経過について検討するに、証拠(甲一二、一四、原告諏訪弘本人)によれば、出願当初の特許請求の範囲は、「スラブ上端筋の敷込みにおいて、隣接ブロックの梁をはさんで背合わせの関係にある斜線部分(A)、(A)間に敷込みの配筋を、途中梁上にて継手することなく一本ものを通して配筋構成し、その端部の継手並びに定着はすべて中央部(B)寄りの位置にて処理するとしてなることを特徴とするスラブ上端筋の鉄筋組付工法。」と記載されており、原告諏訪は、昭和五六年二月、右出願内容が記載された出願公開公報を被告に対し送付したこと、その後、特許請求の範囲に関して出願人である原告諏訪により補正がされ、出願公告時の特許請求の範囲は、前記第二の一2(三)(1)、(2)のとおりとなったことが認められる。

右の出願当初の特許請求の範囲と出願公告時のそれとを比較すると、出願公告時のものは、全体形状をH形状となし、その交点を溶着した鉄筋網とするという要件が付加され、かつ、端部の継手及び定着はすべて中央部(B)寄りの位置にて処理するという要件が削除されている。したがって、補正により、手組みによる配筋を排除して特許請求の範囲を減縮する一方、要件の一部を削除することにより特許請求の範囲が拡張されたとみるべきであり、これは、補正によって特許請求の範囲を変更したものであって、単に出願当初の特許請求の範囲を減縮したものでないことは明らかである。

4  したがって、原告諏訪が被告に対する補償金支払請求権を取得するためには、改めて被告に対し補正後の特許請求の範囲を記載した書面を提示して警告する必要があったというべきである。

そして、原告諏訪が補正後に右のような警告をした事実を認めるべき証拠はないから、その余の点につき判断するまでもなく、本件発明(二)に関して補償金支払請求権を取得したものと認めることはできないというべきである。

七  差止請求について

特許法によれば、特許権者は自己の特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができるとされているところ(一〇〇条一項)、右一ないし六において判示したところに照らせば、被告について、本件発明(二)の出願公告後に本件特許権(二)の侵害行為があったとはいえないし、また、今後、これを侵害するおそれがあるとすべき事情の主張立証もない。

そうすると、イ号製品(2)を製造販売する行為は本件発明(二)の実施にのみ使用する物を製造販売する行為であるけれども、被告について、今後、そのような行為をするおそれがあるとはいえないから、原告諏訪が、本件特許権(二)に基づいて、被告に対しイ号製品(2)の製造販売の差止めを求めることはできないというべきである。

また、原告会社は、通常実施権を有するに過ぎないから、被告に対し本件特許権(二)を侵害する行為の差止請求権を有しない。

第四  総括

よって、原告らの請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条、九三条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 後藤博 裁判官 入江猛)

イ号工法目録(1)-A

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)にスラブ筋を配設する組付け工法で、次の下端筋の配筋工程と上端筋の配筋工程とからなる方法

<1> 下端筋の配筋工程

一対の長辺方向の梁に沿ったブロックの端部および柱列帯(第2図A)に

予め鉄筋の交点を溶着し、長辺方向の梁に接する部分をフォーク状とし、短辺方向の梁に接する部分をさし筋によりフォーク状とした、一対の下端筋端部鉄筋網(第3図A)を配置し、

ついで前記一対の下端筋端部鉄筋網を配置して空間となる中央部および端部(第2図B)に

中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶着し、外周部がフォーク状の下端筋中央部鉄筋網(第4図B)を前記下端筋端部鉄筋網(第4図A)と一部が重なるように配置する

<2> 上端筋の配筋工程

下端筋の所望上方に、

一対の長辺方向の梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図21)の位置に

中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶着し、梁に接する部分をフォーク状とした二枚の鉄筋網を結合して一枚とした形状の一対の長辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網(第6図<21>)を配置し、

ついで該梁に直交する一対の短辺方向の梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図22)の位置に

中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶着し、梁に接する部分をフォーク状とした二枚の鉄筋網を結合して一枚とした形状の一対の短辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網(第7図<22>)を配置する

ただし、建物周辺部などのブロックであって、前記長辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網を配置できないときは、

同複合上端筋端部鉄筋網を配置できない長辺方向の梁に沿った端部および柱列帯(第5図11)の位置に、

中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶着し、梁に接する部分をフォーク状とした長辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網(第8図<11>)を配置し、

建物周辺部などのブロックであって、前記短辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網を配置できないときは、

同複合上端筋端部鉄筋網を配置できない短辺方向の梁に沿った端部および柱列帯(第5図12)の位置に、

中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶着し、梁に接する部分をフォーク状とした短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網(第9図<12>)を配置する

イ号工法目録(1)-B

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)にスラブ筋を配設する組付け工法で、次の下端筋の配筋工程と上端筋の配筋工程とからなる方法

<1> 下端筋の配筋工程

イ号工法目録(1)-Aの<1>と同一の配筋工程

<2> 上端筋の配筋工程

イ号工法目録(1)-Aの<2>の上端筋端部鉄筋網を配置完了後、

空間となる中央部に上端筋中央部鉄筋網(第10図<23>)を配置する

イ号工法目録(2)

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)の複数にスラブ筋を配設する組付け工法で、次の上端筋の配筋工程からなる方法

梁をはさんで隣接する端部内に配列した一本もので通した主筋と、

梁に平行して隣接する端部と柱列帯(第5図21および22)とに、該梁に沿って、且つ該梁と直交する梁に架け渡すように配列した配力筋とにより、

H形状をなし、

その交点を溶着した上端筋端部鉄筋網(第6図<21>および第7図<22>)を、

梁上に配設する

イ号製品目録(1)-A

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)に鉄筋の交点をあらかじめ溶着した次の1、2の二種類の下端筋鉄筋網、および、3、4の二種類の複合上端筋鉄筋網、ただし、建物周辺部などのブロックであって、3、4の複合上端筋鉄筋網を使用できない場合には、5、6の二種類の上端筋鉄筋網を適宜使用して、下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網

1 下端筋端部鉄筋網

一対の長辺方向の梁に沿ったブロックの端部および柱列帯(第2図A)に配設する、

長辺方向の梁に接する部分をフォーク状とし、短辺方向の梁に接する部分をさし筋によりフォーク状とした、一対の下端筋端部鉄筋網(第3図A)

2 下端筋中央部鉄筋網

ついで前記一対の下端筋端部鉄筋網を配置して空間となる中央部および端部(第2図B)に前記下端筋端部鉄筋網(第4図A)と一部が重なるように配設する、

中央部が網目の細かい、外周部がフォーク状の下端筋鉄筋網の中央部分(端部鉄筋網(第4図B)

3 長辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網

一対の長辺方向の梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図21)の位置に配設する、

鉄筋網の中央部分(端部位置)が網目の細かい、梁に接する部分をフォーク状とした二枚の鉄筋網を一枚化した形状の一対の長辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網(第6図<21>)

4 短辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網

ついで該梁に直交する一対の短辺方向の梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図22)の位置に配設する、

鉄筋網の中央部分(端部位置)が網目の細かい、梁に接する部分をフォーク状とした二枚の鉄筋網を一枚化した形状の一対の短辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網(第7図<22>)

5 長辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網

同複合上端筋端部鉄筋網を配置できない長辺方向の梁に沿った端部および柱列帯(第5図11)の位置に配設する、

鉄筋網の中央部分(端部位置)が網目の細かい、梁に接する部分をフォーク状とした長辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網(第8図<11>)

6 短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網

同複合上端筋端部鉄筋網を配置できない短辺方向の梁に沿った端部および柱列帯(第5図12)の位置に配設する、

鉄筋網の中央部分(端部位置)が網目の細かい、梁に接する部分をフォーク状とした短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網(第9図<12>)

イ号製品目録(1)-B

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)に鉄筋の交点をあらかじめ溶着した次の1、2の二種類の下端筋鉄筋網、3、4の二種類の複合上端筋鉄筋網、および、7の上端筋中央部鉄筋網、ただし、建物周辺部などのブロックであって、3、4の複合上端筋鉄筋網を使用できない場合には、5、6の二種類の上端筋鉄筋網を適宜使用して、下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網

1~6の鉄筋網

イ号製品目録(1)-Aの1~6の鉄筋網に同じ

7 上端筋中央部鉄筋網

イ号製品目録(1)-Aの3、4、もしくは、5、6の上端筋端部鉄筋網を配置完了後、空間となる中央部に配設する

上端筋中央部鉄筋網(第10図<23>)

イ号製品目録(2)

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)の複数にスラブ筋を配設する組付け工法の上端筋の配筋工程に用いる次の上端筋端部鉄筋網(第6図<21>および第7図<22>)

梁上に配設する

梁をはさんで隣接する端部内に配列した一本もので通した主筋と、

梁に平行して隣接する端部と柱列帯(第5図21および22)とに、該梁に沿って、且つ該梁と直交する梁に架け渡すように配列した配力筋とにより、

H形状をなし、

予め交点を溶着した鉄筋網

イ号製品目録(3)

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)の複数に鉄筋の交点をあらかじめ溶着してメッシュ状とした次の1、2の二種類の下端筋鉄筋網、および、3、4の二種類の複合上端筋鉄筋網、ただし、建物周辺部などのブロックであって、3、4の複合上端筋鉄筋網を使用できない場合には、5、6の二種類の上端筋鉄筋網を適宜使用して、下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網セット

1 下端筋端部鉄筋網

長辺方向lyの梁に隣接する端部および柱列帯(第2図A)に配設する

lyの長さの両梁側にさし筋により定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋し<省略>の長さに梁側には定着部を、中央部側には継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋した一対の下端筋端部鉄筋網(第3図A)

2 下端筋中央部鉄筋網

右の下端筋端部鉄筋網が配設され空間となった中央部および端部(第2図B)に配設する

lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き、密な間隔で配筋し、中央部のほぼlxの方向の長さの両側に継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き中央部を密な間隔で配筋した下端筋中央部鉄筋網(第4図B)

3 長辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網

長辺方向lyの梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図21)に配設する

lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の2倍と梁巾の長さでlxの方向に置き端部を密の間隔で配筋した長辺方向の梁に沿う一対の複合上端筋端部鉄筋網(第6図<21>)

4 短辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網

短辺方向lxの梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図22)に配設する

lxの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の2倍と梁巾の長さでlyの方向に置き端部を密の間隔で配筋した短辺方向の梁に沿う一対の複合上端筋端部鉄筋網(第7図<22>)

5 長辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網

上端筋は長辺方向lyの梁に隣接する端部および柱列帯(第5図11)に配設する

lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の長さの梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き端部を密の間隔で配筋した長辺方向に沿う上端筋端部鉄筋網(第8図<11>)

6 短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網

短辺方向lxの梁に隣接する端部および柱列帯(第5図12)に配設する

lxの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の長さの梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き端部を密の間隔で配筋した短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網(第9図<12>)

イ号製品目録A

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)の複数に鉄筋の交点をあらかじめ溶着してメッシュ状とした次の1、2の二種類の下端筋鉄筋網、および、3、4の二種類の複合上端筋鉄筋網、ただし、建物周辺部などのブロックであって、3、4の複合上端筋鉄筋網を使用できない場合には、5、6の二種類の上端筋鉄筋網を適宜使用して、下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網セット

1 下端筋端部鉄筋網

下端筋は長辺方向lyの梁に隣接する端部および柱列帯(第2図A)に配設する

lyの長さの両梁側にさし筋により定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋し<省略>の長さに梁側には定着部を、中央部側には継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋し、長辺方向の梁に接する部分をフォーク状とし、短辺方向の梁に接する部分をさし筋によりフォーク状とした一対の下端筋端部鉄筋網(第3図A)

2 下端筋中央部鉄筋網

右の下端筋端部鉄筋網が配設され空間となった中央部および端部(第2図B)に

lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き、密な間隔で配筋し、中央部のほぼlxの方向の長さの両側に継手部を設けた鉄筋をlxの方向に置き中央部を密な間隔で配筋し、外周部がフォーク状の下端筋中央部鉄筋網(第4図B)を前記下端筋端部鉄筋網(第4図A)と一部が重なるように配置する下端筋中央部鉄筋網(第4図B)

3 長辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網

長辺方向lyの梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図21)に配設する

lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の2倍と梁巾の長さでlxの方向に置き端部を密の間隔で配筋した長辺方向の梁に沿うH形状の一対の複合上端筋端部鉄筋網(第6図<21>)

4 短辺方向の梁に沿う複合上端筋端部鉄筋網

短辺方向lxの梁の両側に隣接する端部および柱列帯(第5図22)ならびに当該梁上に配設する

lxの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の2倍と梁巾の長さでlyの方向に置き端部を密の間隔で配筋した短辺方向の梁に沿うH形状の一対の複合上端筋端部鉄筋網(第7図<22>)

5 長辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網

上端筋は長辺方向lyの梁に隣接する端部および柱列帯(第5図11)に配設する

lyの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の長さの梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き端部を密の間隔で配筋し、端部が網目の細かい、梁に接する部分をフォーク状とした長辺方向に沿う上端筋端部鉄筋網(第8図<11>)

6 短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網

短辺方向lxの梁に隣接する端部および柱列帯(第5図12)に配設する

lxの長さの両梁側に定着部を設けた鉄筋をlxの方向に置き粗い間隔で配筋しほぼ<省略>の長さの梁側に定着部を設けた鉄筋をlyの方向に置き端部を密の間隔で配筋し端部が網目の細かい梁に接する部分をフォーク状とした短辺方向の梁に沿う上端筋端部鉄筋網(第9図<12>)

イ号製品目録B

梁で囲まれたブロック(第1図)の各部分(中央部、端部、柱列帯、別紙中央部、端部、柱列帯の定義参照)に鉄筋の交点をあらかじめ溶着した次の1、2の二種類の下端筋鉄筋網、3、4の二種類の複合上端筋鉄筋網、および、7の上端筋中央部鉄筋網、ただし、建物周辺部などのブロックであって、3、4の複合上端筋鉄筋網を使用できない場合には、5、6の二種類の上端筋鉄筋網を適宜使用して、下端筋と上端筋の上下二層にスラブ配筋を行うスラブ用鉄筋網

1~6の鉄筋網

イ号製品目録(1)-Aの1~6の鉄筋網に同じ

7 上端筋中央部鉄筋網

イ号製品目録(1)-Aの3、4、もしくは、5、6の上端筋端部鉄筋網を配置完了後、空間となる中央部に配設する

上端筋中央部鉄筋網(第10図<23>)

下端筋割付図

<省略>

<省略>

上端筋割付図

<省略>

<省略>

<省略>

中央部、端部、柱列帯の定義

短辺方向の長さがlx長辺方向の長さをlyである平行する柱梁によって区画されるブロックの各部分(中央部a、端部b、柱列帯c)の定義

1 中央部a

右ブロックのうち、短辺方向の長さlxの両側よりほぼ<省略>を除く中側と長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側により区画される部分を中央部と称する

2 端部b

長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側と短辺方向の長さの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と隣接する部分および短辺方向の長さlxの両側よりほぼ<省略>を除く中側と長辺方向の長さの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と隣接する部分を端部と称する

3 柱列帯c

区画されるブロックの四隅に短辺方向の長さlx、長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>の長さで区画される部分を柱列帯と称する

第11図

<省略>

a ……中央部

bb’……端部

c ……柱列帯

(別紙)工事目録

工事名 建築施工会社 工事時期 使用された工法 使用された工法 使用された製品

1 松下技術研究所7棟 (株)竹中工務店 昭和55年秋 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

2 西宮原マンション (株)竹中工務店 昭和56年秋 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

3 ワールド本社ビル (株)竹中工務店 昭和57年春 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

4 日毛パークタウン (株)竹中工務店 昭和58年春 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

5 守口倉庫 (株)竹中工務店 昭和58年頃 イ号工法目録(1)-B イ号工法目録(2) イ号製品目録B

6 エキゾチックタウン (株)竹中工務店 昭和59年夏 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

7 泉北長崎屋 (株)浅沼組 昭和59年頃 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

8 福島阪神電鉄ビル (株)竹中工務店 昭和62年6月頃 イ号工法目録(1)-A イ号工法目録(2) イ号製品目録A

別紙1

<省略>

<10>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告

<12>特許公報(B2) 昭62-305

<31>Int. Cl.4E.04 G 21/12 識別記号 庁内整理番号 6539-2E <24><44>公告 昭和62年(1987)1月7日

発明の数 1

<54>発明の名称 筋組付け工法

審判 昭58-2842 <21>特願 昭52-96848 <65>公開 昭54-31929

<22>出願 昭52(1977)8月12日 <43>昭54(1979)3月9日

<72>発明者 諏訪弘 名古屋市名東区猪高町大字上社字丁田75-8

<71>出願人 諏訪弘 名古屋市名東区猪高町上社2丁目96番地

審判の合議体 審判長 野浩一 審判官 田村洋三 審判官 巨原治郎

出願人において、実施許願の用意がある.

<>参考文献 「建築技術」1974年5月号 p.147~150 有限会社建築技術発行 特に図3、3、9及び3、3、10、3、3、5

「バウスタウルゲベーベ」ナツハリヒテン、(BAUSTAHL GEWE BENACH-RICH TEN)1965年10月号 p.75~78 バウスタウルゲベーベ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユランクテルハフツソグ発行

<>特許請求の範囲

1 で囲まれたブロックにスラブ筋を配設する組付け工法において一対のに沿つたブロックの端部位置に予め鉄筋の交点を溶接し、に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置し、ついで前記一対の端部鉄筋網を配置し空間となるブロックに中央部が目の細かい予め鉄筋の交点を溶接し、外周部がフォーク状の中央部鉄筋網前記端部鉄筋網と一部がなるように配置する下端筋の配筋工程と、この下端筋の所望上方に一対のに沿つたブロックの端部位置に中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶接し、に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置し、ついで該に直交する一対のに沿つたブロツクの端部位置に中央部が網目の細かい予め鉄筋の交点を溶接し、に接する部分をフォーク状とした一対の端部鉄筋網を配置する上端筋の配筋工程とから成る鉄筋組付け工法.

2 上端筋配筋工程において端部鉄筋網配置完了後空間となるブロックに中央鉄筋網を配設する特許請求の範囲第1項の鉄筋組付工法.

発明の詳細な説明

本発明は、で囲まれたブロックに下端筋と上端筋とを配筋するスタブ筋を鉄筋網とし、強度的にも優れ且つ極めて間岸にとり行なうことの出来ようにした組付け工法である.

一般にで囲まれたブロックにスラブ筋を配設するに際しては、ブロック内の荷重分布位置を考慮しなければならない.

例えば第1図は下端筋に置ける荷重分布を承すものであつて、有効スパンlx及びlyのほぼlx/4により定められる斜線部分Aに応力分布があり、この部分の強度を結果すべく鉄筋の配置を囲に行わなければならない.

第2図は上端筋に置ける同様の荷重分布を斜線部分Bにより示したものである.

例えば第3図、第4図はかような応力分布を考慮して配筋されたスラブの従来例であり、点線は下端筋、実線は上端筋となるべきものを便宜的に示している.

このうち、下端筋は鉄筋1を一本一本網目状に結束組付けした成形され、上端筋は鉄筋2と、応力分布により定められた荷重に対し最安全位置である所定位置に配されるほぼlx/4の長さの鉄筋3とを一本一本網目状に結束組み付けして成形されているが、更に下端筋と上端筋とには、両端部のほぼlx/4点で折り曲げ加工されるベンド筋4が配されている.

このベンド筋4は、ほぼlx/4点により外方の端部を上端筋として、ほぼlx/4点より内方の中央部を下端筋として、用して所定位置に配されており、よつて下端筋は鉄筋1とベンド筋4の中央部とによりブロックの中央部の位置が密に配筋され、上端筋は鉄筋2、3及びベンド筋4の端部とによりブロックの周端部中央の位置が留に配筋されているのである.

このように従来のスラブ配筋は、作業現場で一本一本折り曲げ成形加工を要するベンド筋4を必要とする構成となつているが、これは前記応力分布に従つた強度を得ると共に使用する鉄筋を必要以上に多くしない為の配慮であつた.

即ち、半に直線状の鉄筋を網目状に組んで上端筋及び下端筋を組み立てたのでは、荷重耐力を殆ど必要としない部分にまで多量の鉄筋を消費することになるからである.

この従来のスラブ配筋構造はそれなりに優れたものであるが、ベンド筋を作業現場で一本一本折り曲げ加工しなければならないこと、スラブ配筋の組み立ては、鉄筋を一本一本網目状に組み立てなければならないこと、網目状に組み立てられた鉄筋を不動に保持するべく各鉄筋の交叉する部分をすべて手作業で結束しなければならないこと、使用される鉄筋の太さが二種類ある場合は使用しないように充分の配慮が必要なこと、種々の問題があり、その組み付け作業に高度の熟練を要し、手作業である為非能率的であり、多数の人手と時間を要するので非経済的であり、にも拘らず配筋、結束が不正確とならざるを得ない等多くの欠陥がある.

ただ従来も、溶接金として、予め子状に組まれたスラブ筋が用いられることもある.

この場合には、構造的に不必要な所まで一律に配筋が配されしかも各を結合する手筋を多数要するといつた鉄筋量が必要以上に嵩む点、この手筋が多くなる為に手で々に配筋する場合と大のない手間のかかる点等、構造的、経済的に設計されるべきスラブ配筋には採用出来ない状況かみられた.

例えば第5図に於て、もは上述の溶接金であるが、この各金を連結するには、かくの如く多数の手筋6を必要とするのである.

本発明では、上述した従来からの手によるスラブ配筋、或いは溶接金によるスラブ配筋の欠陥を解消すべく創されたもので、応力分布の基本的形態に従つて上端筋及び下端筋をそれぞれ所定の荷重負担区域に分割し、この区域別にした個々の網目状にした鉄筋の交点を溶着、外周部がフォーク状となるようにした鉄筋網を作業現場で組付けてスラブ配筋を完成させようとする工法である.

以下本発明の施工実施例を図面に従つて説明する.

下端筋の荷重負担区域は、有効スパンlx及びlyのほぼlx/4により定められるブロック中央部(第1図での斜線部分A)であるから、本発明に於ける下端筋はこの中央部に配置される中央部鉄筋網とこの中央部鉄筋綱を支える端部鉄筋網とにより成形される.一方、上端筋の荷重負担区域は、有効スパンlx及びlyのほぼlx/4により定められるブロック周端部(第2図での斜線部分B)であるから、本発明に於ける上端筋は、この周端部に配置される四組の端部鉄筋網により成形される.

先ず第6図、第7図、第8図は下端筋として用いる鉄筋網を示したものであり、10は柱、11は大梁、12は小梁である.第6図に示した端部鉄筋網7は、鉄筋をもつて粗い網目状としその交点を溶着、梁に接する部分はフォーク状としたものであつて、対向する一対の梁に沿つたブロックの端部位置に配されるのであるが、この端部鉄筋網7の幅はほぼlx/4の長さとなつている.

また第7図に示したものは中央部鉄筋網8であつて、前述の一対の端部鉄筋網7の配置によつて生じるブロックの空間となる中央部に、当該端部鉄筋網7に支持されて配置される.

この中央鉄筋網8は、前述の荷重分布から理解される如くブロック中央部の強度を確保しなければならない為に、長手辺のほぼlx/4の長さを有する両端部8aをフォーク状として中央部8bが細い網目状に成形されているのである.

即ち予めかくの如く成形された一対の端部鉄筋網7を、先ずブロックの対向する一対の梁11及び12に沿わせて配置し、次いで中央部鉄筋網8を、その両端部8aをに交する一対の11及12にし渡すようにし、且つその中央部8bをブロックの中央部に配され、端部鉄筋網7と中央部鉄筋網8との各交叉点を結束し、配置する工程をたどつて下端筋は構成されるのである.(第8図参照).

次に第9図、第10図、第11図は、前述の下端筋の所上方に配置し上端筋として用いる鉄筋網を示したものである.

これらの図面に於て、上端筋用の端部鉄筋綱9は、第2図の上端筋の荷重分布に従つて大梁11と大梁12により形成されるブロツクの各梁に沿つた端部位置に配される訳であるが、各端部鉄筋網9はその中央部9bを細かい網目とし梁に接する部分はフォーク状として、応力分布に従つた強度を確保し得るようになつている.

即ちその幅を有効スパンlxのほぼ1/4とした端部鉄筋網9は、ブロツクの一辺に沿う長手辺の両端部9aを各々ほぼlx/4ずつ残して中央部9bを細かい網目に予め成形されたものなのである.

このように成形された端部鉄筋網9を、先ず対向する一対の梁に添つてブロツクの端部に配置し、次いで該梁に直交する一対の梁に沿つてブロツクの端部に配置し、各交叉点を結束する工程をたどうて上端筋に構成されるのである(第11図).ここで、この端部鉄筋網9に於ける両端部9aは中央部9bを所定位置に保持する為の支えとなつている.

以上説明してきたように本発明は上述のように形成される下端筋と上端筋とを配置し、スラブ筋を配設する組付け工法である.

尚、第12図に示したものは、外局部をフォーク状とし、鉄筋の交点を予め着した中央鉄筋網13であつてこれは、必要に応じて上端筋の端部鉄筋網9の配置によつて生じるブロツクの空間となる中央部に当接鉄筋網9に支持されて配置されるもので前述する下端筋の配置と併せスラブ筋を配設する組付工法である.

ところで第13図、第14図は施工せんとする床面全体の一例であつて、ここでは四単位のブロツクを示しており、第13図は本発明に於ける下端筋、第14図は同じく上端筋を示している.実際の施工に於ては大梁11と小梁12とによつてかように複数のブロツクが形成されることになる訳であり、従つて既に説明してきた下端筋用の端部鉄筋網7或いは上端筋用の端部鉄筋網9を溶接する各ブロツクにまたがつて配置することが考えられる.

即ちここでは小梁12によつて隔てられた接するブロツクに背中合わせに用いる一対の端部鉄筋網7或いは9を結合し、これを、小梁12に沿つて左右の各ブロツクの端部に位置し得るようにしたものである.かような構成の端部鉄筋網を用いれば配筋がよりたやすくなるのは明らかであろう.

以上発明の如く本発明に於ては、下端筋となるべき鉄筋網と上端筋となるべき鉄筋鋼とを、各々所定の形状に分割した態様で予め成形しておき、施工現場では半に配筋工程に従つてこの鉄筋網を配置して結束して組付ければよいものである.

この場合これらの鉄筋網は、従来のベンド配筋での下端筋と上端筋の基本的構造を崩すことなく成形されているので、従来のスラブ配筋に比して何ら強度的に劣るものではなく、むしろ溶着が確実であり、優るものである.

しがも各金を結束する継手部分は、常識的な配置として出来るだけ応力の小さい位置に設けるのが望ましい訳であるが、本発明に於ける継手部分は、荷重に対し安全位置であるほぼlx/4点であることから、極めて正確実なものである.

更に現場での配筋にしては、一本一本の鉄筋を折まげ加工したり、結束するのではなく、また従来の鉄筋網を使用する場合の柱まわりの干渉を切断により除去(第16図D-D参照)する作業を伴なうものではなく、工場で予め正確に配筋された鉄筋網を所定位置に配置、結束組付けするだけでよいものであり、かりに、柱等に干渉することがあつても、本発明より使用される鉄筋網は定着部である周側部がフォーク状となつているので第15図の如く、現場において容易に曲げ進げによつで定着できるほか、従来鉄筋網の継手部では重ね合わせが4段(第17図参照)又は3段(第18図参照)となつていたのが、本発明の場合は第19図のようにフォーク状を入り組ませることにより平面的(2段)に配設でき、かぶりを圧迫することがなく(第20図E、第21図Fを比較参照)従来のようにかぶり圧迫のため、コンクリートの打ちしを必要としない.このことは建築物が巨大構造物だけにコンクリートの所用量に大きなを生ずるもので極めて大きな経済性を有し、工業的にも極めて有意議である.また構造上JISG3551溶接金の規格を適用しての定継手を容易に採用することも出来る.

図面の簡単な説明

第1図…下端筋の荷重分布を示す平面図、第2図…上端筋の荷重分布を示す平面図、第3図…従来のスラブ筋の平面図、第4図…第3図中のC-C線断面図、第5図…従来の溶接金の配筋状況を示す平面図、第6図…下端筋に於ける端部鉄筋網の平面図、第7図…下端筋に於ける中央部鉄筋網の平面図、第8図…下端筋を配設した平面図、第9図…上端筋の一方向端部鉄筋網の平面図、第10図…上端筋の他方向端部鉄筋網の平面図、第11図…上端筋を配設した平面図、第12図…上端筋の空間中央部に配置する鉄筋網の平面図、第13図…施工せんとする床全体の下端筋配設を示す平面図、第14図…施工せんとする床全体の上端筋配設を示す平面図、第15図…柱まわりの鉄筋網の折り曲げ定着を示す状況図、第16図…從来工法である鉄筋網の柱まわりを切断処理する状況図、第17図…従来の鉄筋網の4段重ねとなる継手の状況図、第18図…従来の鉄筋網の3段重ねとなる継手の状況図、第19図…本発明の鉄筋網の2段重ねとなる継手の状況図、第20図…従来の鉄筋網を梁に定着した側面図、第21図…本発明による鉄筋網を梁に定着した側面図.

符号の簡単な説明、10…柱、11…大梁、12…小梁、7…下端筋端部鉄筋網、8…下端筋中央部鉄筋網、9…上端筋端部鉄筋網、13…上端筋中央空間に配する中央鉄筋網.

第1図

<省略>

第4図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

第7図

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第8図

<省略>

第15図

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第16図

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第9図

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第10図

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第11図

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第13図

<省略>

第12図

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第14図

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第17図

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第18図

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第19図

<省略>

第20図

<省略>

第21図

<省略>

<10>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告

<12>特許公報(B2) 昭62-21100

<51>Int. Cl.4E 04 B 5/32 E 04 G 21/12 識別記号 105 庁内整理番号 7521-2E 6539-2E <24><44>公告 昭和62年(1987)5月11日

<54>発明の名称 スラブ上端筋の鉄筋配設工法

<21>特願 昭54-164226 <65>公開 昭56-89652

<22>出願 昭54(1979)12月18日 <43>昭56(1981)7月21日

<72>発明者 諏訪弘 名古屋市名東区猪高町大字上社二丁田75-8

<71>出願人 諏訪弘 名古屋市名東区猪高町上社2丁目96番地

審査官 佐藤昭

参考文献 特開 昭52-97224(JP、A) 特公 昭58-13691(JP、B2)

<57>特許請求の範囲

1 梁に囲まれたブロツクに、スラブ上端筋を配設するに際して、荷重分布により区画される端部A、A'、中央部B、隅部C、に適する必要配筋をするため、梁をはさんで隣接する端部内に配列した一本もので通じた主筋と、梁に平行して隣接する端部と隅部とに、該梁に沿つて、且つ該梁と直交する梁に架け渡すように配列した配力筋とにより、H形状を成し、その交点を溶着した鉄筋綱を、梁上に配設することを特徴とする、スラブ上端筋の鉄筋配設工法.

発明の詳細な説明

この発明はスラブ上端筋の鉄筋配設工法の改良に関する.

一般にスラブの短辺方向有効長さLXと長辺方向有効長さLYによつて区画される部分をブロツクとし、ブロツク内の長辺方向の長さLYの両側よりほぼLX/4を除く中側と短辺方向の長さLXの両側よりほぼLX/4により区画される部分を端部Aとし短辺方向の長さLXの両側よりほぼLX/4を除く中側と長辺方向の長さLYの両側よりほぼLX/4により区画される部分を端部A'とし、長辺方向の長さLYの両側よりほぼLX/4と短辺方向の長さLXの両側よりほぼLX/4により区画される各々四隅の部分を隅部Cとし、長辺方向の長さLYの両側よりほぼLX/4を除いた中側と短辺方向の長さLXの両側よりほぼLX/4を除いた中側により区画される部分を中央部Bとし、それらの部分に正分布が配配慮されてスラブ上端筋の鉄筋配設が行われる.

すなわち第1図に示す如く梁1、2、3、4に囲まれたブロツク(図中5は柱を示す)において引張応力の掛かる端部A、A'にはな鉄筋配設が行われ、引張応力の掛からない中央部B、隅部Cには粗い鉄筋配設が行われる.

梁をはさんで隣接する端部A、A'に関する主筋の梁上での継手又は定着は全て第2図A、Bに示される如く大梁6又は小梁7の上においてなされる.

図中8、9は主筋方向を10、11は配力筋方向の鉄筋配設を示す.これは、従来の手組みの場合でも、また交点を溶着した鉄筋網の場合でも同様であつた.

しかるに、これでは、梁上において、双方から継手代が2本突き合い特に端部A、A'における配筋はになるので梁内へのコンクリート打設の係に支障をとたし、また、鉄筋のはね上りのため梁上におけるコンクリートのかぶり不良が生じたりする施工上の問題がある.

本発明は叙上の事情にみなされたもので、その要旨とするとこるは、梁をはさんで隣接する端部A、A'間の主筋配筋は、これを第2図A、Bに示す如く、梁上にて継手又は定着することなく一本もので通る構成とし、中央部Bに亀裂防止等、配筋を必要とするは、中央部ほぼLX/4の部分で継手処理をすることにより引張応力の放大となる梁上は一本の鉄筋で貫通し鉄筋にせられる目的を完全にたし、且つ、梁上の配筋の乱れ等をなくし、コンクリート打設時のトラブルをも解消せんとしたものである.

以下、本発明の詳細を実施例図にもとづいて説明する.

すなわち第3図イは、梁3をはさんで隣接する端部A'間に配列する主筋14を一本もので通し、梁3をはさんで隣接する端部A'、隅部Cに梁3に沿つて且つ梁3と直交する梁2、4に架けすように配列した配力筋16とによりH形状をなし、主筋14と配力筋16との交点を溶着した鉄筋綱12を梁3の上に配設した態様を示し、第3図ロは、梁2をはさんで隣接する端部A間に配列した一本もので通した主筋16と、梁2をはさんで隣接する端部A、隅部Cに、梁2に沿つて、且つ梁2と直交する梁1、3、に架けすように配列した配力筋17とにより、H形状をなし、主筋15と配力筋17との交点を溶着じた鉄筋綱13を、梁2の上に配設した態様を示すものである.

隅部C内では配力筋16、17が端部A、A'より先端部まで伸びた状態になつているのはその伸びた部分で柱等の干渉が生ずる時、現状に合せ配力筋を簡単に曲げて正が出来る様にするためである.

手組みにより配筋を行う場合は主筋と配力筋の交点を結束じて配設すれば応用が出来る.

更に中央部Bに亀裂防止等配筋を必要とする時は主筋14、15の中央部ほぼLX/4の位置に14’、15’の継手を設ける様にする.梁をはさんで隣接する端部A、A'、隅部Cを有しない梁1並びに4について配設される鉄筋網18、19の構成は第3図イ、ロより明らかな如く前述鉄筋綱12、13の不要部を除いた半断ものに相当する.

第3図ハは、これ等の鉄筋綱12、13、15、19を梁1、2、3、4の梁上に配設完了した態様図で、これによつて、隅部C内に生じる鉄筋交差部は結束によつて固定するもので、これを図中印で示すが、引張応力の掛からない隅部C内であるので、その結束は、鉄筋綱の配置がずれない程度の簡略なもので充分である.

第3図ニに示す鉄筋綱20は叙上のスラブ上端筋の配設により空白部となる中央部Bに亀裂防止等必要により配設されるもので、その配筋21、22は全て端部A、A'のな主筋14、15と突き合う関係にあり且つにする必要はなく、主筋14、15との継手は中央部ほぼLX/4の位置で処理する様にする.

この態様を第3図ホに示す.

本発明は叙上の如き構成により梁をはさんで隣接する端部A、A'間に配筋する主筋は、梁上にて継手又は定着されることなく、一本ものを通すので、配筋の混雑が解消され、梁内へのコンクリートの打設が支障なく行えると共に鉄筋のはね上りで梁上のかぶり不良を生じたりすることは皆無となりさらに、中央部ほぼLX/4の位置での継手は引張応力の掛からない安全位置にて行われ全て構造的意義を立し然も素人でも簡単にスラブ上端筋を配設することが出来るれた配設工法である.

図面の簡単な説明

第1図はスラブ上端筋の荷重分布図、篤2図は従来の梁上の配筋関係を変す説明図、第3図イ~ホは本発明方法の手段回である.

符号の簡単な説明、1、2、3、4……梁、A、A'……端部、B……中央部、C……隅部、5……柱、6……大梁、7……小梁、8、9、14、15……主筋、10、11、16、17……配力筋、12、13、18、19、20……鉄筋綱.

第2図

<省略>

第1図

<省略>

第3図

<省略>

<省略>

<省略>

<10>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告

<12>特許公報(B2) 昭61-24498

<1>Int.Cl.4E 0 C 5/04 E 0 B 5/16 別記号 庁内号 2101-2E 7521-2E <21><2>公告 昭和61年(1996)6月11日

発明の数 2

<>発明の名称 スラブ用セント

<31>特願 昭56-206396 <>公開 昭57-133960

<32>出願 昭52(1977)8月12日 <>昭57(1982)8月18日

<33>特願 昭52-96848の分割

<72>発明者 訪弘 名古屋市名東区高町大字上仕字丁目75-8

<71>出願人 訪弘 名古屋市名東区上仕2丁目90番地

審査官 前田男

<34>参考文献 特開 昭50-161029(JP、A)

<>特許請求の範囲

1 平行する柱により短辺方向の長さがlx長辺方向の長さがlyによつて区画されるブロツクの、短辺方向の長さlxの両側よりほぼ<省略>を除く中と長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側により区画される部分を中央部とし、長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中と短辺方向の長さの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と接する部分よび短辺方向の長さlx両側よりほぼ<省略>を除く中と長辺方向の長さの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と度する部分を部とし、区画されるブロツクの四に辺方向の長さlx、長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>の長さで区画される部分を柱とし、その区画されたブロツクの前記各部分のにの交点をあらかじめしてメンシユ状としたをつて下と上の上下二にスラグを行うスラブブ用セントであつて、下は長辺方向lyのに接する部むよび柱に配設するlyの長さのに定をりたをlyの方向にき粗い間隔で配し<省略>の長さにには定部を、中央部側には手部をりたをlxの方向にを粗い間隔で配した一対の下側部とその下側部が配設され空間となつた中央部および部にlyの長さの両に定部を設けたとlyの方向ほぼ中央部の長さのとをlyの方向にを、中央部をに部を粗い間隔で配中央部のほぼlxの方向の長さの両側に手部を設けたをlxの方向に中央部を間隔でした下側中央部により構成され、上は長辺方向lyのに間接する端部および柱帯に配設するlyの長さの両に定部を設けたをlyの方向にを粗い間隔で配しほぼ<省略>の長さのに定部を設けたをlxの方向にき端部をの間隔で配した長辺方向に沿う一対の上側端部と短辺方向lxのに長する端部および柱に配設するlxの長さの側に定部をけたをlxの方向にを粗い間隔で配しほぼ<省略>の長さの側に定部を設けたをlyの方向にと端部をの間隔で配した辺方向に沿う一対の上側端部によりにされてなることをとしたスラグ用セント.

2 平行する柱により短辺方向の長さがlxで長辺方向の長さがlyによつて区画されるブロツクの短辺方向の長さlxの両側よりほぼ<省略>を除く中側と長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側により区画される部分を中央部とし、長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側と短辺方向の両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と間接する部分および短辺方向の長さlxのほぼ<省略>を除く中側と長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と間接する部分を端部とし、区画それるブロツクの四に短辺方向の長さlx、長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>の長さで区画される部分を柱とし、の両側に間接する区画されたブロツクの前記各部分の複数の均等部分を一体的にの交点をあらかじめしてメンシユ状としたをつて下と上の上下二層にスラブ配を行うスラブ用セントであつて、下は長辺方向lyのの両側に間接する端部および柱帯に配するlyの長さの両側に定部をけたをlyの方向にきい間隔で配し<省略>の2倍との長さの両側に手部をけたをlxの方向にき、粗い間隔で配した一対の復合下側端部とその復合下部が配設され空間となつた中央部および部にlyの長さの両側に定部をけたとlyの方向ほぼ中央部の長さのとをlyの方向にき中央部をに端部を粗い間隔で配し、中央部のlxの方向の長さの両側に手部をけたをlxの方向にき中央部をな間隔で配した下側中央部によされ、上端は長辺方向lyのの両側にする端部及び柱に配設するlyの長さの両側に定部を設りたをlyの方向にき粗い間隔で配しほぼ<省略>の2倍との長さでlxの方向にき部をの間隔で配した長辺方向に沿う一対の復合上側部と短辺方向lxのの両側に復する端部および柱列帯出に配するlxの長さの両側に定部を設けたをlx方向にと粗い間隔で配しほぼ<省略>の2倍との長さでlyの方向にき端部をの間隔で配した辺方向に沿う一対の復合上側端部では皮されてなることを特としたスラブセント.

発明の詳細な説明

本発明は平行する柱なより短辺方向の長さがlx、長辺方向の長さがlyによつて区画されるブロツクにスラブを配設するのに用いるセントであつて、応力分布に適した合理的なスラブ配をめて簡単に行うことの出来る優れたものである。スラブの応力分布帯は下端、上端に分布けてそれぞれ中央部、端部、柱帯に区画される.

第1図は下端に於ける応力分布を示すものであり、短辺方向の長さlxの両側よりほぼ<省略>を除く中側と長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側により区画される部分を中央部Aとし引張応力の大きい部分となる.

長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>を除く中側と短辺方向の長さの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中央部と間接する部分および短辺方向の長さlxの両側よりほぼ<省略>を除く中側と長辺方向の長さの両側よりほぼ<省略>の長さにより区画される中部と間接する部分を端部Bとし引張応力の小さい部分となる.

区画されるブロツクの四に短辺方向の長さlx、長辺方向の長さlyの両側よりほぼ<省略>の長さで区画される部分を柱Cとし引張応力の殆んどない部分となる.

第2図は上端に於ける応力分布を示すものであるが、下端とは全く逆作用となり端部Bは引張応力の大きな部分となり中央部Aは引張応力の小さい部分となり柱列Cは下端と間接に引張応力の殆んどない部分となる.

第3図はこのような応力分布をしたスラブ配の従来例であり、破線は下端、実線は上端となる配を示している.このうち、下端は1を配するとともにその中央部には上端の端部に建始するベンド4が1の間に配されになつている.上端は2を配し端部には下端の中央部に連結するベンド4とその間にほぼ<省略>の長さの3が配されになつている.

第4図は第3図のイ~イ断面を示しベンド4の配し方をしている.この従来スラブ配は応力分布にかなつたそれなりにれたものであるが、ベンドを一本一本折り曲げ加工しなければならないこと、配は一本一本所定の位置に並べ交点を全て結束しなければならいこと等すべて手作業で行うので復な配をりのない細心のがでしかも異なる径のものを二径以上使用するのでその便い分けに気配りする等度の熟練工を要すると共に多数の人手をし、的・不経済なやり方で必然的に配精度にも欠陥が多くなる.また従来も熔接全をスラブとして用ることが行なわれているが、それはもちある配が一般的であり応力分布に不必要な所まで一に配されしかも各会を結合する手を多数要しへの定着にはさしによる充足が必要でが大中にる応力分布にしての配とはほど返いものである.また取付け作業が多くなる点、手で々に配する場合と大差ないの不合理が多い.

第5図は従来のもちある配とした金5であり、6は数多くの手を示す.

本発明は上述した従来のスラブ配の欠陥を消すべく突出されたもので下端及び上端を、要求される応力分布にした形状のとしてはし、を応力分布に応して配設する6ので精度が高く作業平し高い、然も経済的なスラブ配の行えるスラブ用セントである.

本発明中とは短辺・長辺方向に配設するの交点にあらかじめしたメンシユ状のことである.定とはとスラブを連結一体化するためスラブを内に延長してて長し込む必要長さのことである.手とはととをわ合せて連結するに必要な長さのことである.定、手についてはJASS-5に定められる接金明の方法を本発明に容易に使用することができる.

以下第一番目の発明を説明する.

第6図は下端の長辺方向lyのに間接する部B、柱列Cに配設する一対の下側端部13を示し、lyの長さの両側に定部13bを設けたをlyの方向にと粗い間隔で配し<省略>の長さに側には定部13aを中央部側には手部13aを設けたをlxの方向にき粗い間隔で配したである.コンクリート又は骨コンクリートのようにるしたの中にし込る定する場合は定部13bを省くが定部をなくした13bの処置は配設后さし等により補えばよい.しかしこの部分は柱列であり補う必要がなければさしも不用である.

第7図は下端の一対の下側端部13が配設され空間となつた中央部人・端部Bに配設する下側中央部技14を示しlyの長さの両側に定部14aを設けたとはば中央部ly方向の長さのをlyの方向にき、中央部をに端部を粗い間隔で配し、中央部lx方向の長さと両側に手部14bを設けたをlxの方向にき中央部をな間隔で配した技である.施工上必要とされれば中央部ly方向の長さの技をほぼlyの長さに延長して配したり、又端部lxの方向に中央部lxの長さに両側に手部を設けたを粗い間隔で配したとしてもよい.これを図中部で示す.下側中央部技14をコンクリート遮又はコンクリートのようにるしたの中にし込る定する場合はまず11に定部14aの2倍以上の長さをし込る、ついで12に定部14aの長さ分をし戻して配設する.

第8図は下端の下側端部13と下側中尖部14がセントされた下端の皮を示し両の手部は結束により固定する.

第9図は上端の長辺方向lyのにする端部B・柱列Cに配設する一対の上側端部15を示し、lyの長さの両側に定部15bを設けたをly方向にき粗い間隔で配しはば<省略>の長さに側に定部15aを設けたをlxの方向にき端部Bをの間隔で配した端である.

第10図は上端の短辺方向lxのに間接する端部B柱列Cに配設する一対の上端部16を示し、lxの長さの両側に定部16bを設けたをlxの方向にき粗い間隔で配しほぼ<省略>の長さに側に定部16aを設けたをlyの方向にき端部Bをの間隔で配したである.

第11図は上端の上側端部15、16がセントされた上端技の皮を示し、柱列帯Cでは両のが交叉して配されるので、その交点を結束等により固定する.

第12図は上端の中央部Aを配裂防止等必要に応じ配設する上側中央部17を示し、中央部Aの長さ・中で手部15a'15b'を設けて粗い間隔で配したである.次に目の発明を明する.の物でのスラブ配設では区画されるブロンクがをまたいで間接し連結的にじているので、施工性を考慮すれば但し下端は設上に配設する間接する間接の定部ををまたいで一体化したを反すればの節約が出来上のも然としりけ回も少く勞務、時間、のとなり工が向上することは明らかである.

第13図は下端の長辺方向lyのの両側にする端部B・柱列帯Cに配設する一対の復合下側端部技13A即ちlyの長さの両側に定部13bを設けたをlyの方向にしき粗い間隔で配し<省略>の2倍と中の長さの両側に手部13a'を設けたをlxの方向に設き粗い間隔で配したとこの配設によつて空間となつた中央部A端部Bにはない記した第7図に示される下側中央部14の配設によるを示したものである.

第14図は上の長辺方向lyのの両側にする端部B、柱列帯Cに配設する一対の復合上側部15A即ちlyの長さの両側に定部15bを設けたをlyの方向に設きい間隔で配しほぼ<省略>の2倍と中の長さをlxの方向にと端部Bをの間隔でしたと短辺方向lxのの両側に間接する端部B、柱列帯Cに配設する一対の復合上側端部16A即ちlxの長さの両側に定部16bを設けたをlxの方向に設き用い間隔で配しほぼ<省略>の2倍と中の長さのをlyの方向にき端部Bをの間隔で配したの配設によるを示したものである.

第15図は実際の物に配設される下端のはを示すものである.

第16図は実際の物に配設される上端のを示すものである.又物の外部のような区画されるブロンクに配設するには第一番目、第二番目の発明のセントの一部分を組合せて配設することは当然のことである.このスラブ用セントは施工状況に合せ下端のと上端のをそれぞれ単独で採用することも出来る.

以上のように考のセントは応力分布に適応した合理的なスラブ配をしめて簡単に行うことが出来るれた特性を持つている.

図面の簡単な説明

第1図、下端の各々応力分布を示す平面図、第2図、上端の各々応力分布を示す平面図、第3図、従来のスラブ配の平面図、第4図、第3図に於りるイーイ線断面図、第5図、従来のの配状態を示す平面図、第6図、下側端部図、第7図、下側中央部図、第8図、下端の技図、第9図、長辺方向に沿う上側端部図、第10図、短辺方向に沿う上側部図、第11図、上端の図、第12図、上側中央部技図、第13図、下端の復命下側端部と下側中央部を配設した図、第14図、上端の復合上側端部を配設した、第15図、の物に配設される下端の図、第16図、の物に配設される上端の図.

符号の簡単な説明 10…柱、11、11a、12、12a…、13…下側端部、14…下中央部、15…長辺方向に沿う上側端部図、16…短辺方向に沿上側端部、17…上側中央部、13A…復合下側端部技、15A…長辺方向に沿う復合上側端部、16A…短辺方向に沿う復合上側端部.

第1図

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第2図

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第4図

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第3図

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第5図

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第6図

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第7図

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第8図

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第9図

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第10図

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第11図

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第12図

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第13図

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第14図

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第15図

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第16図

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特許公報

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特許公報

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特許公報

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